(PS)俺の屍を超えてゆけ の通販

寿命の短い主人公を操作し、
家族を増やして次々と世代を引き継ぎながら
因縁の敵を倒すというＲＰＧ。
世代引継ぎという独特のシステムと
おどろおどろしい世界観、本作品の作者である
枡田氏の独特の押しの強さのため
とっつきが非常に悪い。

実際にはゲームの出来は卓越した出来であり、
あの天外魔境２やリンダキューブに全く引けをとらないどころか
本作品のほうがゲーム的に優れた作品。

作家の発言力が強いゲームは
どうしてもその作家の顔が思い浮かんでしまうため
損をしている場合が多い。

例えば、飯野氏が作成したＤの食卓２は
実際にプレイすると良作と思えるのだが
作家の我の強さが前面に出てしまっており
評価は不当に低くなってしまっていると思う。
確かに、作家の押しの強さや風貌を思い浮かべながらのプレイとなると
第１印象がかなり異なってくる。

本作品も、説明書の作者による押しのメッセージのせいで
どうしても作家の顔が前面に出てしまっており
損をしているのではないかと思う。
非常に丁寧な作りなのに、説明書の投げやりとも思える説明のせいで
ゲーム本編もテキトウな作りなのではと先入観を持ってしまうのだ。

ゲーム内容は
２Ｄの戦闘シーンの画面が美しく、
道中の３Ｄ画面も
極力チープにならないような工夫がされていて
ＰＳとはいえかなり見やすい画面に仕上がっていると思う。

ＰＳのＲＰＧはどうしてもＣＤ読み込みの長さがネックになるのだが
本作品の戦闘は先読みのおかげで
ＣＤの読込が気にならない。これは○。

戦闘は枡田氏ならではの工夫がされていて
術の重ねがけ、独自の宝収集システム、首領を倒せば戦闘終了など
独自の戦略的要素が多い。
絵の動きは少ないながらも
飽きずに楽しめる。
戦闘でもらえるアイテムが予め
スロット方式で決定するのが楽しい。
首領はやばくなると
宝を持って逃げ出すといった
システム上の工夫は○。

世代交代するとレベルが１になるために
レベルアップは大して重要ではなく
交神の儀でベースとなる力をつけていくことのほうが重要。

寿命が短いため、ベストメンバーを揃えるのに時間がかかり、
ベストメンバーが揃ったら
制限時間内にボスを倒す必要があるので
移動や戦闘回数に気を配らなければならない。
たとえていうと
最強メンバーでインターナショナルカップを戦いぬく
「サカつく」をＲＰＧ化したようなシステムに
仕上がっていると思う。
時期を逃してしまうとメンバーを揃えるために
時間を費やすことになるところが似ていると思う。

ダンジョンの数が少ないために
淡白な作りに見えるのだが
実際にはプレイ時間は長く、
「あっさりモード」ですら２５時間かかってしまった。
ゲ－ムバランスがシビアな「じっくりモード」では
かなりの時間がかかると思われる。

サポート約のイツ花が
「あまり気にせず気楽にやっちゃってください」などと
身も蓋も無いようなことを喋るので
適当に作られたゲームという印象を受けるのだが
実際は１つ１つのコマンド、技やアイテムの効果、
敵の強さまで練りに練られた作品であり、
シナリオに込められた伏線も凝っている。

シナリオの絶妙さと
ゲームシステムの見事さから
クリアすると忘れられない１作となると思う。

天外魔境ほどの壮大さは無く、
リンダキューブのような収集の楽しみは薄いものの
本作独特の
制限時間に縛られるゲーム性はかなりの緊張感を
生んでいると思う。

シナリオの鬼畜具合は
天外魔境２の地獄釜の肉助のシーンのような
嫌なおどろおどろしさにあふれていて
評価が分かれるかもしれない。

ゲームとしてはかなりの良作。
最初に電源を入れて数時間遊ぶことができれば
きっとハマれる作品になると思う。
それを逃してしまうと
妙な先入観から積みゲーとなってしまうかもしれない作品。


文：中古ゲームジャパンてんちょー
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